第322章

島宮奈々未は数秒黙ってから、ひと言だけ返した。「うん!」

天瀬震はしばらく待ったが、それで終わりなのか?

淡々としすぎじゃないか。

常識通りに返してこないな。

それでも我慢できず、彼は口を開く。

「ななちゃん、君のおばさんに会いに行きたい」

……ほら、やっぱり。島宮奈々未は最初から分かっていた。これが天瀬震の本題だ。

こめかみを揉みながら言う。

「父さん。私とあの人、因縁があるの」

天瀬美和子が「おばさん」だなんて、島宮奈々未はどうしても受け入れられなかった。

彼女の人生の中で、絶対に口にしたくない名前。それが天瀬美和子だ。

「ななちゃん、俺はおばさんと何十年も離れ離れ...

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